メディア掲載レビューほか
名曲集といえば過去の録音を集めたものも多いが,今回の横山のショパンはすべて新録音により,選曲も彼自身による。1音1音の構築からアルバム全体の流れに至るまで,横山のこだわりと強い意思,そしてショパンへの熱い想いが表われた魅力的なディスク。
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)
昨年、横山幸雄にインタビューした折に、ショパン名曲集の準備をしている、と聞いていたが、これがそれ。
“ショパン”と一言で言っても、あまたある曲の中で、人々の多くが聴く曲は限られている。でも、そういった一般ウケする曲以外にいい曲はたくさんあるわけで、それらをも聴いていってほしい、という横山の願いが表われた一枚。選曲は彼自身が行ない、こういったコンセプトのCDにはとても大切な曲順もよく考えられている(アタマの2曲を聴いておしまい、にならないように)。そういう意味で、この世に数多く存在する“名曲集”(特にショパンの)の中でも、存在意義がはっきりしているCDと言えるだろう。新たな聴衆を獲得するパワーが落ちているクラシック界において、ある意味で“啓蒙性をもたせる仕掛け”が、より必要とされている。ショパンの場合は日本に横山がいて良かった。特に文句のない、よく整えられた演奏だ。 (井上郷子) --- 1999年06月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)